なぜ、この本を作っているのか。
少しだけ、私の話をさせてください。
2000年、乗馬クラブの会員として馬に乗りはじめました。 2004年にアイルランドへ渡り、馬の国で一年を過ごしました。
帰国して勤めたのは、滋賀県の競走馬育成牧場です。 サラブレッドの調教と管理。若い馬を、競馬場へ送り出す仕事でした。 2011年からは和歌山の乗馬クラブで、インストラクターをしていました。
馬を見てきた時間より、 馬に触ってきた時間のほうが長いと思います。 この本の企画と文章は、そういう人間が書いています。
牧場で働いていた頃、送り出した馬のその後を知らないまま 別れることが何度もありました。 競走成績は記録に残ります。血統も残ります。 けれど、その馬がどんな顔をして、何を嫌がり、 誰になついていたかは、どこにも残りません。
馬に関わった人の記憶の中にだけ、その馬はいます。 記憶は、放っておけば散ってしまいます。 散る前に、形にしておきたいと思いました。
Equus Art Press は、和歌山の、私ひとりの工房です。
絵は画家が描きます。印刷は美術印刷の会社が、 箱は紀州桐箪笥の工房が引き受けます。 私がするのは、お話を伺い、物語を組み、三者をつなぐことです。
ご相談から納品まで、窓口は私ひとりです。 担当者が変わることはありません。
愛馬のことを、
馬を知っている人間に話したい。
そう思われたときに、お声がけください。
現役の馬でも、引退された馬でも、
すでにお別れになった馬でも、同じようにお受けします。
まだ何も決めていない、という段階で構いません。